2021年2月2日 更新


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日本手話学会第44回大会

2018年12月1日(土)・2日(日)

タワーホール船堀(東京都江戸川区)

 

【研究発表】

文末指さしを再訪する:手話文を考察するための予備的研究

遠藤 栄太(香港中文大学大学院)

文末指さしは主語を指す「文末コピー」であると指摘されているものの、未解明な点が多い。本研究では聾者による自然な会話を資料として、文末指さしの出現を分析し、その多くは主語を指し示すことを再確認した。加えて、NM 表現(松岡2015)などとの関連性も調べることによって、手話言語の文末指さしや手話文の研究はもちろん、自然言語一般における文末の統語的構造の解明へ向けた予備的研究を試みた。

 

日本手話通訳者は日本手話の不適格音節を正しく判定することができるか

原大介(豊田工業大学)中野聡子(大阪大学)米田 拓真(Toyota Technological Institute at Chicago)

全日本ろうあ連盟が出版する「新しい手話」シリーズのうち入手可能な9冊に含まれる不適格な音節409個を特定した。次いで、手話通訳者がこれらの不適格性をどの程度正しく判定できるのかを調査した。その結果、通訳者とろう者の不適格音節判定能力に大きな違いあることが明らかとなった。

 

日本手話における鰻文構文の布置:指差鰻文における連続体構造および非決定論的構造

末森 明夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

本稿では鰻文構文における主題 network 理論を援用し、日本手話における鰻文構文の布置をはかった。具体的には、指差2 語文、「象は⿐が⻑い」に該当する表出、体言止め文に該当する表出における鰻文構文の適用をはかることにより、鰻文構文の述部におけるclassifier predicates や文法化の影響を考察した。さらに、指差2 語文や指差3 語文における指差の属性や語順を検証し、指差(構成素)の連続体構造および非決定論的構造の可能性を考察した。

 

【基調講演】

Sign Language Studies in Myanmar

Tin Aye Ko (Myanmar Deaf Community Development Association)

This paper will first of all define the situation of the deaf in Myanmar and followed by the existed and possible ways of integration in the society, and then the presentation of the works done to standardized the Sign Language in Myanmar. The conclusion part will emphasise on the recommendations and encouragements for progressive future of the deaf in Myanmar; especially not to be left behind by the society in this very fast moving era of democratization of Myanmar.