2021年2月2日 更新
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日本手話学会第38回大会
日程:2012年7月7・8日
場所:群馬大学教育学部・荒牧キャンパス
【研究発表】
日本手話における語彙の音韻変化
池田ますみ・今井美香・磯部大吾・古川香・Felix Sze(香港中文大学: APSL)
香港中文大学で学んだ手法を用いて,日本手話における歴史的音韻変化の過程を分析した.Frishberg(1975)のアメリカ手話における歴史的変化の分析を援用し,日本手話にもアメリカ手話と同じパターンの音韻的変化が起こったことを主張する.
日本手話における RS(Role Shift)を含む文の統語構造:ASL を初めとした他手話との比較の観点から
數見陽子(NPO法人手話教師センター)・森 壮也(アジア経済研究所:JETRO)
RSについては,小薗江ほか(2000)が先行研究としてあるが,NMMと動詞タイプの分類の基本的な枠 組みの提示のみに留まっている.一方,ASL の Lillo-Martin(1995),LSCの Quer(2006)に見られるように 海外では統語構造についての分析と提案が出ている.本報告では,これらの先行研究に倣い,日本手話でRSと共起しうる動詞及び,そうした動詞とRSによって構成される文の統語構造についての分析を行う.
日本手話における敬意表現に関する実験的考察
ジョニー・ジョージ(名古屋商科大学)
本論文は日本手話使用者の敬意表現方法に関する実験研究報告である.研究結果は日本手話者が敬意を表現するため非手指動作(nonmanuals)を頻繁に利用する事を示した先行研究を裏付けている(市田2005,岡部ら2005).
「日本手話話し言葉コーパス」の構築に向けて
坊農真弓(国立情報学研究所)・大杉豊(筑波技術大学)・菊地浩平(国立情報学研究所)
我々は2011年から「日本手話話し言葉コーパス」の構築に取り組んでいる.本発表では我々のプロジェクトの目指すところ,コーパスのデザイン,具体的な作業工程を紹介する.
いわゆる「中間型手話」の中間性の検証:中間型手話と日本手話の語内の時間構造の違いについて
原大介(豊田工業大学)・黒坂 美智代(藤田保健衛生大学)
媒介手話H(聴者の用いる中間型手話)と日本手話を,手の動き(ストローク)の観点から調査し,それぞれの手話の語内部の時間構造には違いがあることを示す.
日本聾教育黎期における指文字及び手真似文字の系譜
末森明夫
聾教育黎期に考案された指文字群及び手真似文字群の対照を行い,群分類由来樹状図及び二進系列・最尤法由来分岐図を描画することにより,指文字群及び手真似文字群の系譜を作成した.一致,類似,及び同源の3種類の分類法の分類群ないし分岐群への影響を検証し、指文字群手真似文字群と大曾根式指文字の関連性及び聾唖教育界と専門職業界の言語媒体接触に関する考察を行った.
日本手話における頷きの分類の試み
神庭真理子(東京大学大学院・日本学術振興会)・砂田武志
日本手話において,頷きは接続詞に相当するものであり,その役割は重要である.本研究では,文中に現れる頷きの形式の違いに注目し,それぞれの形式がどのように機能しているのかについて,インタビューを基に分析,考察を行う.
【基調講演】
「手話の復権」:手話言語法運動の背景と法的根拠を考える
田門浩